新卒訪問看護師の勧め⑥【人生会議】

新卒で訪問看護師になった小川綾乃です。

孤独死、という言葉を耳にするようになりました。
孤独、死、というと悲しいイメージ、辛いイメージが
付きまとう方も多いかもしれません。
しかし本当におひとりで亡くなられることは悲しいことなのでしょうか?

お一人暮らしだけど家に帰って亡くなりたい、という方がいるんだけどと
病院の退院調整の看護師さんからご連絡がありました。
医師は「告知は済んでいて、ご自身の状況はすべて受け入れている」とお話があり
ご本人も「家の空気を吸いたい、身の回りを片付けたい」と仰っていました。

身寄りがないとのことでしたので
念のためご本人の気が変わったら入院も可能と病院さんとお約束だけして
数日後にご自宅に戻られました。

体調の波はあり、不安が募って何度もステーションにご連絡がありました。
ご自宅で亡くなることはご自身で決めたことだけれども
このまま家で大丈夫なのかと私自身も考えてしまいました。

トイレまで歩くのが困難な日も増えて
お伺いするとお布団に寝ていらっしゃることがほとんどでした。

そのころから少しずつ不安だというお電話も減ってきました。

ある日のこと
「小川さん、亡くなることも辛いけど亡くなる人を見ている小川さんの方が辛いね」と
微笑みながらお話があったときには、この方は覚悟を決められたのだと思いました。
「私はお辛いことや苦しいことの助けになれないことが一番辛いです」
とお話しながら泣いてしまいました。

 
それからしばらくしてご本人はおひとりの時間に旅立たれました。
一人でずっと生きてきて一人で旅立つことの決意が混じった穏やかながらもしっかりとしたお顔でした。

ご本人はきっと「孤独死」とは思っていらっしゃらずお一人で住み慣れた大好きな家で亡くなった、と思っていらっしゃるのではないでしょうか。
 
 
「孤独死」という言葉にはネガティブなイメージが付きまといますが
一人でご自身で決めてなくなることを孤独死というのはどうなのかな、と思います。

私も家族と最近今後について話し合います。
どうなるかはわかりませんが希望は伝えておきたいと思っています。
 
 
ACPが人生会議という名前になりました。
皆さんもぜひ人生会議をしてはいかがでしょうか?